パリオリンピック™体操・男子個人総合で金メダルを獲得した岡慎之助選手。大会直前に大けがをするなど、偉業の背景には努力と周囲の支えがありました。

■快挙 岡慎之助選手大けが乗り越え 個人総合金メダル  

井上貴博キャスター:
体操日本に“20歳の新星”が誕生しました。体操 男子個人総合で金メダルを獲得した岡慎之助選手です。

岡選手は中学卒業後、高校には進学せず社会人クラブに入団しました。2019年には世界ジュニア選手権で団体・個人総合で金メダルを獲得。2022年の全日本選手権では右ひざ前十字じん帯を断裂という大怪我に見舞われました。

決勝の相手は中国の絶対的エース張博恒選手。岡選手と張選手の点差はわずか0.2333点でした。

岡選手の勝利のカギは2つありました。まず『第1種目のゆか』です。足が床にふれると減点0.1という、高難度の“体操系の技”を4回実施しました。

岡選手は「最初のゆかは着地だったり、すごい良かった。後半はなんとか耐えてこらえながらという演技だった」と話しています。

体操選手 谷川翔さん:
岡選手は団体決勝、個人総合決勝でもほぼ全部、着地を止めました。これはめったにないことで、着地の精度が覚醒していました。

ホラン千秋キャスター:
床の演技はとても軽やかで、着地は確実にピタッと止めていました。

スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
着地は足の裏、全体を使っているのですか?

体操選手 谷川翔さん:
着地は足だけではなく、手や股関節など全身を使います。岡選手は2年前に大きなけがをしているので、着地をさらに見直したのだと思います。

■つり輪「ホンマ十字」 採点の確認が勝利のカギに

井上キャスター:
そしてもう一つのポイントが『第3種目の つり輪』です。岡選手は技の一つである“ホンマ十字”を決めたのですが、当初は認定されませんでした。

体操選手 谷川翔さん:
“ホンマ十字”という懸垂技は、肩がつり輪より上がってはいけないという、厳しいルールがあります。岡選手の演技は当初認定されずスコアが下げられたのですが、コーチ陣が審判団に確認を求める「インクワイアリ―」を申し出て認められました。これが2つ目の勝利のカギとなりました。

■“絶対的エース”橋本は涙の6位「悔しいより幸せ」

井上キャスター:
一方、橋本大輝選手は個人総合6位となりました。岡選手に対しては「悔しい気持ちより幸せすぎて涙が出ちゃって、みんなのために戦えたことが本当に悔いの残らない大会でした」と話していました。

スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
6位の意味はご本人にしかわかりません。ただ私達からすれば、本当に長い年月をかけてここまでやり続けることはすごいことだと思っています。

体操選手 谷川翔さん:
東京オリンピックで金メダルを取ってからこの3年間、苦しんでいる様子を見てきました。
体操を楽しめていない時期もありましたし、プレッシャーなど様々な思いもあるなかで最後まで戦い切った橋本大輝選手に拍手を送りたいです。

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<プロフィール>
谷川翔さん
体操選手
体操2022年世界選手権 日本代表
谷川航選手の弟

田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト
慶應義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰

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