伝統芸能の歌舞伎が、欧米やアジアの主要都市で再び活況を見せている。コロナ禍で途絶えていた海外公演が段階的に再開され、英語字幕付きの「字幕歌舞伎」や、初心者向けの解説付き企画が、海外の若い観客層を中心に支持を集めている。興行関係者は「公演チケットの完売が相次ぎ、配信需要も高い。国境を越えた歌舞伎の人気の底堅さを実感している」と話す。
海外公演では、豪華な衣装や見得(みえ)、立廻り(たちまわり)といった歌舞伎独特の演出を生かしながら、あらすじや登場人物を事前に紹介するワークショップが好評だ。最新の公演では、大規模なスクリーンにタイムラグなく英語字幕を表示するシステムが採用され、言葉の壁を低減している。大学教授で演劇研究家は「歌舞伎は、江戸時代から人々を楽しませてきたエンターテインメント。ストーリーの面白さが伝われば、文化の違いを超えて心をつかむ力がある」と語っている。
国内では、歌舞伎座や国立劇場などで定期公演が行われ、役者一家の襲名披露や新作歌舞伎の上演で話題が生まれている。デジタル発信も強化されており、舞台裏の様子や化粧・衣装の着付け過程をSNSや動画配信で公開する取り組みが、国内外で若年層の関心を高めている。関連団体は「観光客の誘致と相まって、一次産業としての伝統芸能の経済効果も注目されている」と指摘する。
文化庁は、伝統芸能の海外発信強化に向け、公演の渡航支援や翻訳・字幕制作の助成を拡充している。地方の小規模な歌舞伎座や、地域に伝わる郷土芸能との連携企画も増えており、観光庁は「伝統芸能を切り口とした文化観光モデル」の構築を進めている。関係者は「400年以上の歴史を持つ歌舞伎を、次の世代へつなぐには、舞台の内外で新しい観客を迎え入れる工夫が不可欠だ」と話している。公演スケジュールは各劇場の公式サイトで確認できる。



ソース:朝日新聞
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